脱炭素などの観点でメーカーとの連携に役立つ技術を持つリサイクル業者を認定する「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」を開催中の通常国会に内閣を通じて提出した。
この法案では、産廃の破砕や選別をしている全国に約1万3000社ある中間処理事業者が対象で、省エネ型や、高度な分離・再資源化が可能な設備を導入する業者を認定する。
産廃業者は中小・零細企業が大半を占めるために今までは技術力を見極めることが難しかったが、この認定制度によってカーボンニュートラルの達成をめざすメーカーが連携相手を探すときに基準になるよう認定制度を設計する見込み。
近年、欧州を中心に製造業における資源リサイクル強化の流れが加速し、国境を越えた再生材の獲得競争が起きているが、日本は法整備も含め追いついていない。新法の成立により、産廃から回収したプラスチックや金属を再資源化し、資源採掘や製造工程で排出される二酸化炭素(CO2)の大幅削減につなげ、質の高い再生材を国内で安定的に循環させる取り組みで国内メーカーの競争力強化にもつなげる狙い。
2024年2月段階で「再資源化事業高度化法」について環境省の担当官にヒヤリング取材したところ、当時は審査基準や手続き方法、施行開始時期などを含め、詳しく公表できないとのことだったが、その後3月15日に下記の概要が公表された。
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<法律案の概要>
○基本方針の策定
再資源化事業等の高度化を促進するため、国として基本的な方向性を示し、一体的に取組を進めていく必要があることから、基本方針を策定し公表するものとします。国が目指すべき目標を定め、資源循環産業の発展に向けた施策の方向性を提示します。
○再資源化の促進
資源循環産業全体の底上げを図るため、再資源化事業等の高度化の促進に関する廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項を策定し、公表するものとします。資源循環産業のあるべき姿への道筋を示すことで、産業全体の底上げを図ります。
また、特に処分量の多い産業廃棄物処分業者の再資源化の実施状況を報告させ、これを環境大臣が公表することとします。資源循環の促進に向けた情報基盤を整備し、製造業者等とのマッチング機会の創出を通じた産業の底上げを図ります。
○再資源化事業等の高度化の促進
先進的な再資源化事業等の高度化の取組みを環境大臣が認定する制度を創設し、認定の効果として、廃棄物処理法の特例を措置することとします。国による最新の知見を踏まえた迅速な認定による制度的支援を通じて先進的な事例を重点的に支援し、先進的な事業を全国的に波及させていきます。
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上記の内容で内閣より第213回通常国会(2024年1月26日~6月23日)に提出され(受理日3月15日)、衆議院付託委員会に審査を委嘱された(4月4日より審議中)。
資源循環産業のあるべき姿への道筋を示すための法律という位置づけで、環境省としては本当に優良事業者であるかどうかの実態把握ができるような審査基準したいとのこと。
また、検討段階のことは環境省内の「静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会」の議事録で把握できる。
なお、優良リサイクル事業者の認定は地方行政に移管するのではなく、環境省が直接に全国の事業者を審査登録するので都道府県ごとの違いは発生しないとのこと。
まだ決定ではないが、当社では募集要項や手続きの内容によっては申請手続きの支援業務を検討している。