国際決済銀行(BIS)の発表によると、主要国の銀行監督当局は気候変動に伴い銀行が抱えているリスクを開示させる規制を2026年に導入するようです。それによって業種別の融資額や融資先の温暖化ガス排出量を可視化することができるとのことで、金融危機やサプライチェーンリスクを予測できるようなることを期待しているようです。
この規制が実施されることになれば、金融機関は企業にも実態報告を求めるようになるでしょうし、その情報開示要求は当然に融資先企業ということになるでしょう。その要求にはカーボンニュートラル社会に移行することで『座礁資産』になりうる資産についての報告も含まれます。
ちなみに『座礁資産』とは、法規制の変化や市場価格の変化、洪水や物理的変化など、市場や社会環境の変化によって会社の価値が毀損したり、大きく目減りしたりする可能性のある資産のことで、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を使用したり製造したりする設備はその代表例です。
こういった設備は資産価値が大きく低下する可能性がありますので、関連設備を持つ企業は会計上の減損処理を迫られます。
また、『座礁資産』をたくさん保有していたり、脱炭素改革に無関心な企業へ投融資する投資家や金融機関には損失計上のリスクが発生しますので、今後はカーボンニュートラルに取り組む計画を持たない企業にとっては融資を受けにくくなる可能性があります。
将来も金融機関からの融資を受ける予定の企業は、脱炭素改革に向けたビジネスモデルの見直しや新技術への投資、持続可能なエネルギー源へのシフトすような事業計画を立てておく必要がありそうです。
財務省も「クライメート・トランジション利付国債」という5年国債・10年国債を発行し、トータル20兆円の資金調達することを発表しました。まずは2024年2月に1兆6000億円募集す計画ですが、この予算を使って、日本政府として国際社会にコミットメントした2025年の温暖化ガス排出量実質ゼロに向けた取り組みを推進していく計画です。