CO₂排出規制で始まったサプライチェーン再編時代に、
競争相手から抜きん出る解決策を提供します。
多くの工場経営者が、環境対策を求められる時代の中で光熱費・原材料のコストアップや新しい法律・規制への適合に悩み、顧客のサプライチェーン再編に取り残されないか心配しています。『Made in Japanの環境技術』では、中小企業でも導入しやすい手ごろな価格の解決策を提供します。
導入すれば、あなたの会社はカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー対応に伴うサプライチェーン再編において競争相手から抜きん出たサプライヤーとなり、顧客獲得につながります。
なぜ環境問題が注目されているのか、もう少し先延ばしできないのか?
どうして企業に環境対策が求められるのかといえば、2018年に国連機関IPCCの科学者たちによる『1.5度特別報告書』で産業革命前の水準から地球の平均気温が1.5℃上昇したら生物生存環境は終わりの始まりを迎え、2℃上昇したら生態系の壊滅が止められなくなるが、すでに1℃上昇し残りは0.5℃しかないと警告されたからです。
科学者たちからの警告を受けた国連は、2050年までに温室効果ガスの排出を減らして「カーボンニュートラル」を達成する目標を採択し、併せて資源を再利用する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に向かうと決めました。
あと0.5℃の平均気温上昇で、生態系の生存環境は終わりの始まり
では、5年経った2023年の状況はどうかというと、回復の兆しが見えるほど実体的な成果は現れていません。そこでIPCCは2023年3月20日に、2035年までに2019年比で60%削減しないと間に合わないと追加発表しました。
しかし、その後さらに温暖化は進み、2023年7月27日には世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」によって、2023年7月(23日時点まで)の世界の平均気温は16.95℃に上昇し、それまでの記録「16.63℃」を0.32℃上回ったとのことです。猶予はわずか0.2℃足らずという状況が地球環境の現在地です。
今さらだけど、カーボンニュートラルとは何か?
「カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素(CO₂)やメタンといった温室効果ガスの排出を抑えながら、同時にCO₂を吸着してくれる植物の育成などに取り組み、実質排出量をゼロにすること。その達成について、日本政府は国際社会に対し2050年までと期限を切って約束しました。ざっくり言えば、高度成長期以降に増えてしまった分を丸々削減し1960年代初期の水準に戻す目標です。
出展:環境省 循環型社会の形成の状況
2020年10月の初期宣言では2030年までに2013年比で26%削減にする中間目標でしたが、2022年の見直しで46%に引き上げられました。国際社会に日本政府の本気を示した格好ですが、その分は主に製造業に対して法律や規制をつくって対応を求めているし、応じる企業には支援も始めています。
製造業とCO₂排出量の関わりは深く、役割は大きい
製造業は他の産業に比べてエネルギーも資源も使うので果たす役割は大きく、注目もされています。もちろん、仮に法律や規制がなくとも地球環境を想えば積極的に取り組むべき課題でしょう。
出展:JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)のグラフを参考に当社で作成
政府や消費者からの要請に応じて、さまざまな分野のメーカーがカーボンニュートラルへの取り組みを発表しています。特に環境問題に敏感なEU圏で商売するメーカーは積極的です。
自動車業界は行政にも対応を急がれていて、2021年にイギリス・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で「100%ゼロエミッション車とバンへの移行を加速することに関するCOP26宣言」が採択されました。世界の主要市場で新車販売をゼロエミッション車(ZEV)に限定していく内容で、乗用車は2035年から、商用車も2040年からZEVのみになります。
ZEVの定義は各国で議論されていて、主要市場のひとつであるEUでは「e-fuel(合成燃料)」のみで走る車は2035年以降も販売ができるが、ハイブリッド車を含めその他のエンジン搭載車は認められませんでした。自動車以外の製造業界でも、EU以外の市場でも、地球環境に配慮しながら生産する流れは変わらないでしょう。
末端の部品サプライヤーまで削減実態を問われる時代
日本企業に目を向けても、たとえばトヨタ自動車は2035年までにカーボンニュートラルを達成すると発表していて、同社のグループ企業も続々と高い目標を掲げ意欲的に取り組んでいます。昭和時代のような緩さは消え、サプライチェーン末端の中小企業サプライヤーまで削減の実態を問われる新しい時代が来ました。
2025年7月1日からは「ユーロ7/VII」規制が始まり、EU圏で商売するメーカーはサプライチェーン全体のCO₂排出量規制目標を達成しなければペナルティを受けます。この規制は自動車業界に限っておらず、さまざまな変化が顕在化する元年になりそうで、ファッションや建築業界でも2025年に実質ゼロを達成していない外注先との取引はやめると発表しています。
発注元メーカーはサプライチェーンのCO₂排出量を把握する必要があるため、見積書は「製品単価は○円、CO₂の排出量は1個あたり○グラム」という書き方になります。今はまだ取引の必須条件になっていない業界でも、2025年あたりからサプライチェーン全体の連結CO₂排出量削減に負担をかける外注工場は避けられるでしょう。
得意先が国内企業だとしても、海外で販売される製品に組み込まれる部品サプライヤーなら他人事で済まされません。環境対策を怠るとサプライチェーンでのポジションを競合他社に奪われる日が来てしまいます。
日本の税制もCO₂排出量を抑制できない工場には厳しくなります。たとえば炭素税(日本では2012年10月導入の温対税)は、今はCO₂排出量1t相当の化石燃料につき289円が課税されていますが、炭素税を最初に導入したフィンランドでは9,625円、最も高額なスウェーデンは14,400円、フランスが5,575円、英国が2,538円で、世界銀行も各国の炭素税は1t当たり40~80ドル(4,500~9,000円)が妥当だと発表しているので、日本も上乗せされていく可能性が高そうです。まずは2028年からは賦課金制度が導入されます。
また、欧州が整備を進めている「国境炭素調整措置(国境炭素税)」は、製造時のCO₂排出量に応じて輸入品に課税するもので、2026年の本格導入に向け2023年10月から排出量の報告義務が発生します。
CO₂を発生させない努力が、サプライチェーン再編での生き残りや、炭素税等のコスト軽減といった会社の利益に直結する時代が来ています。
環境対策のYoutubeチャンネルができました。
世界に誇る、優れたMade in Japanの環境技術
長らく環境対策は儲からないと言われ続けてきましたが、安心してください。メードインジャパン技術を使って環境対策し、顧客獲得や利益増につなげた中小企業が現れています。CO₂排出量削減対策は研ぎ澄ますとコストダウンにつながり利益率が向上します。
また、CO₂排出量削減は顧客企業が政府や消費者から求められているので営業面でも切り口になります。ぜひ貴社も、いち早くカーボンニュートラルに対応して競争相手から抜きん出たサプライヤーとなり、顧客に深く食い込みましょう。
では、日本の環境技術力は、世界で本当に競争力があるのでしょうか。その答えは「YES」です。たとえばCO₂を排出する石油・石炭・天然ガスの代替として水素が注目されていますが、欧州特許庁と国際エネルギー機関が「水素に関連する世界各国の特許の出願状況」をまとめた報告書によると、日本は2011~20年の10年間で全体の特許出願件数の24%(首位)を占めており、水素技術も日本企業の技術が優位にあると評価しています。
また、次世代技術だけでなく過去の実績においても実はダントツです。自動車工業会の報告書にもある通り、ハイブリット車の普及をはじめ2001年~2019年の20年間でCO₂排出量を減らしてきた実績も日本は23%削減し世界一です。同時期の他国は減らすどころか増えている国が多いなか、これほどに日本の環境技術は優れています。
『Made in Japanの環境技術』では、優れたメードインジャパン技術のうちで、中小企業でも導入しやすい手ごろな価格の解決策を中心に提供します。
出展:一般社団法人自動車工業会(JAMA)ニュースリリースより引用(抜粋)
利益を出したいなら、設備電化と自家消費型再エネ発電
これから新設する工場なら、最初から環境対策を考慮して設計するでしょうが、すでに稼働中の工場であれば一気にすべてを変える変更は難しいものです。
一方、今から2035年ぐらいまでがカーボンニュートラル適応の実質的な猶予期間なので、猶予期間中にやってくる設備の定常更新にカーボンニュートラル対応も含ませるのが中小企業にとって現実的なタイミングでしょう。逆に、そのタイミングは絶対に逃せません。
では、更新時期が来たら何を考慮すればいいでしょうか。CO₂排出量が多い設備といえば乾燥炉やバーナーなどの燃焼系設備がありますが、まずはそれを水素やアンモニア燃料などを使うカーボンニュートラル設備に変更できるか、それが無理なら電気設備への転換を検討します。電気設備は、供給する電気をグリーン電力や再生可能エネルギー発電に切り替えればカーボンニュートラル設備になります。
また、給電も可能な限り自家消費型の再生可能エネルギー(太陽光や水素など)やe-fuel等を使うカーボンニュートラル発電を検討しましょう。売電ではなく自社で使うために発電すれば、電力の市価変動による影響を抑えられます。
電気よりガスの方が安いのにどうして電化するのかというと、サプライチェーン全体でのCO₂総量規制が始まれば製造業はCO₂排出分の「実質ゼロ化コスト」を負担するからです。実質ゼロ化コストとは、林業や農業といったCO₂を固定化できる他者からカーボンクレジットを購入する費用ですが、CO₂排出量が少なければ負担も軽くできます。
需給バランスが悪いカーボンクレジットは高騰すると予想されており、CO₂を大量排出する設備のままだと高騰したカーボンクレジット購入費用で利益が飛んでしまいます。切り替えチャンスを絶対に逃さないように計画しましょう。
また、欧州連合(EU)は、不当商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)を改正し、26年までに『カーボンニュートラル』との主張を禁止することに合意したと報道されており、これにより2026年からは「EU-ETS(欧州排出量取引制度)」や「CBAM(炭素国境調整メカニズム)」で認証されていないカーボンクレジットを使った「実質ゼロ」はカーボンニュートラル(炭素中立)やクライメイトニュートラル(気候中立)とは認めないことにする計画とのことです。
今はまだEU圏内での反発もあり最終決着ではなさそうですが、2026年になってこの決定のまま施行されれば、いずれ日本にも影響が及ぶことは避けられず、似た規制が適用されることになるかもしれません。
設備種類変更と利用エネルギー転換のロードマップ
製造業がカーボンニュートラルを達成するのに役立つ技術、その技術を商品化した設備やサービスなど、『Made in Japanの環境技術』のレビューでは中小企業でも導入しやすい手ごろな価格のものを中心に紹介しています。また、導入ついても当社にお気軽にご相談ください。
設備例:電磁気を利用しCO₂の排出量を60分の1以下に抑えた熱分解装置で、
分解後の白灰はセメント骨材として再利用できる
設備例:フランスのEODev(エナジー・オブザーバー・ディベロップメント)の「GEH2」は
燃料電池車トヨタ『ミライ』の水素技術を使用した定置型水素発電機(写真出展:response)
資源を循環させるサーキュラーエコノミーの環に入る
カーボンニュートラルというと「利用エネルギーの転換」が注目されがちですが、環境問題に詳しいエレン・マッカーサー財団は、利用エネルギーの転換で達成できるのは半分程度で、「資源の循環」にも取り組まなければ政府や消費者が貴社に求めているカーボンニュートラルを達成できないと言っています。
資源を徹底的に循環させるサーキュラーエコノミーに対し、従来からの資源採取、製造、消費、廃棄が一方行に流れる直線型の経済システムはリニアエコノミーと呼ばれます。リニアエコノミーが行き着く先は大量の廃棄物であり、その結果が今日の環境汚染です。工場の産業廃棄物も最終処分場に埋め立てられ汚染の原因となっています。
工場が「資源の循環」で得られるメリットはいくつもありますが、そのうちのひとつが産廃にかかるコストの低減です。それは直接的に産廃業者に支払うお金が減るだけでなく、今後は産廃により発生するCO₂も委託企業の排出量に加算されるので、廃棄量を減らせばCO₂排出量を実質ゼロにする費用負担も軽減できます。
つまり、世界はこれからカーボンニュートラル必須の時代に突入しますが、それを単にお金がかかる環境対策で終わらせるのではなく、顧客獲得への機会づくりや既存顧客の深掘り、利益増も狙う一石三鳥にしてしまいましょう。
カーボンニュートラル達成の要素
(エレン・マッカーサー財団のレポートを元に弊社で作図)
廃棄物を再資源化して循環させるサーキュラーエコノミーへの移行は1社単独ではできません。地域社会全体でつくる資源循環の環への参加であり、その環を皆で大きく育てていくことです。廃棄物が出ないように工程を工夫しながら、貴社工場から出る産業廃棄物を再資源化できる業者を探してみましょう。
再資源化率100%を実現し、完全なサーキュラーエコノミーをつくろう
※限りある資源の効率的な利用等により世界で500兆円の経済効果が見込まれる
もちろん、サーキュラーエコノミーの環に参加することは、文明が始まって以来ずっと常識だったリニアエコノミー(直線型経済)を脱していくのですから、ひとつ装置を入れ替えて完結するほどお手軽なものではありません。とはいえ、ずっと放置してきた人類全体の宿題であり、先送りできないツケが回ってきたと今の時代を生きる我々は腹をくくるしかないでしょう。IPCCの科学者たちが言うように、これ以上の次世代送りは地球がもちそうにありません。
貴社では、これまでも工程内や不良発生に伴うムダを削減してきたでしょうが、同等かそれ以上の情熱でもって徹底的に廃棄しない習慣をつくりましょう。廃棄しないが当たり前の企業風土になれば、サーキュラーエコノミー設備は自分達を助けてくれる補助装置として歓迎され、切り替えにかかる手間や、操作を覚える労力に抵抗が薄れていきます。
また、再生させた資源を社内で使い切れないなら、他社に使ってもらう流通ルートを確保します。そして、誰かが流通させたリサイクル材を積極的に使って循環市場の育成にも参加しましょう。それには発注元や消費者の理解が不可欠ですが、再生しても使われなければ市場が育ちませんし、安定的にさばける市場ができれば再生材の品質も向上します。
製造業がサーキュラーエコノミーに移行する取り組み
ところで、これまで政府主導で推進してきた「3R+Renewable」とサーキュラーエコノミーは何が違うのでしょうか。“できるだけ”廃棄物を出さない「3R+Renewable」をさらに一歩進め、廃棄物を“まったく”出さないことをめざすのがサーキュラーエコノミーです。「できるだけ」が「まったく」に変わった理由は、やはり状況の厳しさです。難しいことですが、廃棄しないを徹底すれば資源は循環し続けることができます。
循環型社会のための新しい習慣を補ってくれる設備やサービス、DX・IoT機器など、『Made in Japanの環境技術』のレビューでは中小企業でも導入しやすい手ごろな価格のものを中心に紹介しています。また、導入ついても当社にお気軽にご相談ください。
設備例:自動車部品塗装工場の不良率を約4割削減させ、
70才従業員が使いこなす工業塗装専用IoTシステム
最後はカーボンクレジットで実質ゼロに
自社の燃焼設備(スコープ1)をすべて電気設備(スコープ2)に転換してグリーン電力を使えばカーボンニュートラルを達成できますが、工場のオール電化は住宅家屋のように簡単にはいきません。たとえば短時間に大量の空気を暖める工程など、スコープ1設備を残すなら排出される分を相殺するカーボンネガティブがなければ実質ゼロを達成できません。
植林もひとつの相殺手段ですが継続するとなると植える場所の確保が問題になります。そこで、実質ゼロにする最後の手段として国際社会で認められているのがCO₂排出抑止に値づけするカーボンプライシング(CP)の国際ルールと、そのルールに則って取引されるカーボンクレジットです。特に、「ETS(排出量取引制度)」や「CBAM(炭素国境調整メカニズム)」の国際規則に合致している正当なカーボンクレジットであることが重要になってきます。
そもそもクレジットが必要ないCO₂排出ゼロ体制をめざすのが大前提ですが、前述の通りその体制づくりは簡単ではないので、体制構築が完了するまでのつなぎとしてもクレジットの調達先を確保しておきましょう。
カーボンクレジット売買ついても『Made in Japanの環境技術』が仲介致しますので、お気軽にご相談ください。
当社はJクレジット制度に登録された事業者です
カーボンクレジットを買い取りたいときや、
余ったカーボンクレジットを売却したいときもこちらから。
優れた環境技術を活かすことができるのは製造業
CO₂抑制技術の他にも、日本が開発してきた環境技術には優れたものがたくさんあります。たとえば、もうすぐ商品化されるという全個体電池やファイバー電池、ペロブスカイト太陽電池、ブルー&グリーンのアンモニア発電、廃プラから水素を生成する装置、風力で海水から水素を生成する船舶、廃プラを熱分解して再資源化する装置、核融合炉まであります。
しかし、それらの技術が社会実装され、活かされるかどうかは製造業のみなさんが導入するかどうかにかかっています。地球環境が切迫している今こそ、先進国の事業者として共に次世代に引き継げる経済システムを創造する時です。
ぜひチームジャパンとして一緒に日本の製造業を盛り上げていきましょう。
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