「タカキビ」とか「モロコシ」とか呼ばれるイネ科の一年草がソルガム。このソルガムを原料に、バイオマス発電するのがソルガム発電と呼ばれる火力発電だ。二酸化炭素を吸収して育つ草を原料にするので、カーボンニュートラル発電に分類される。
このバイオマス発電を、食用イネをさまざまな特性をもたせるために改良してきた日本の品種改良技術によって、速く成長するようにした結果、年に数回作付けできるようになって収量も増えた。約3カ月で6メートルの高さまで成長し、栽培場所に適合した品種であれば最大で1ヘクタールあたりで年間200トン以上も収獲できるため、バイオマス発電で主役とされる木材よりも単位面積あたりの収量では一桁多い。
また、ソルガムを分解するとリグニン、セルロース、ヘミセルロース、シリカなどになる。品種改良でリグニンの量を増やし、効率のよい発電用燃料に成型する技術と併用することで、1kgあたりの発熱量は5200キロカロリーを超えるようになった。これは石炭を使う一般的な火力発電の平均値6200キロカロリーに近い発熱量がある。
今のところ、石炭(輸入一般炭)を使う一般的な火力発電の2倍程度のコストがかかるとされているが、燃料代が上昇傾向であることや、カーボンニュートラルの実現が必須の状況になれば、カーボンニュートラル発電は選択されるようになり、製造業においても太陽光発電や水素発電などとの複合で利用される場合も増えてくるだろう。